何かと気ぜわしく、無理をしがちな年末。そんなときに思いがけず起こるのが腰痛です。寒さで筋肉がかじかんだり血行が悪くなるため、腰痛が起こりやすくなります。
厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、日ごろから感じている自覚症状として最も多いのが、男性では腰痛。女性でも肩こりに次いで多く、男女ともにほぼ10人に1人が腰痛に悩んでいることが分かっています。
日常的な腰の痛みには、背中や腰の筋肉を伸ばすストレッチなどが勧められていますが、ぎっくり腰のように痛みが強いときは、楽な姿勢で安静を保つことが大切です。
痛みが3日以上続くようなら、医師の診察を受けましょう。骨粗しょう症などで骨がもろくなって起こる圧迫骨折や、神経が通る背骨の穴が狭くなる脊柱管狭窄症による痛みが原因のこともあるからです。
物を持つときは中腰姿勢を避ける、長時間同じ姿勢を続けない、仕事を1時間したら数分休憩するなど、腰や背中に負担をかけないようにする工夫も腰痛の予防には大切です。
肝臓に中性脂肪がたまった状態を「脂肪肝」と呼びます。脂肪肝の主な原因は、お酒の飲み過ぎ、肥満、食べ過ぎ、糖尿病などの代謝内分泌疾患で、薬剤によって起こることもあります。
脂肪肝になると、食欲不振、吐き気、嘔吐、黄疸などの症状が出ることがありますが、これらは脂肪肝の状態がかなり進んでこないと現れません。脂肪肝の初期には症状から気付くことが少ないため、定期健診などでチェックして早期に発見することが大切です。
では、なぜ脂肪肝は起こるのでしょう。
食べ過ぎで余剰となったカロリーが皮下脂肪と同様に肝臓に蓄積した場合や、肥満によって肝臓自体で脂肪の合成が亢進したり、肝臓と全身の輸送がうまくいかず脂肪が肝臓に集積したりする場合に、脂肪肝となります。また、肝細胞障害や大量のアルコールで脂肪を輸送するたんぱく質の合成がうまくできないときにも、脂肪が肝臓から運び出されず、肝臓に脂肪がたまってしまいます。
一般に脂肪肝は、飲酒習慣のある人に起きる病気と思われがちですが、アルコールを飲まない人に起きる非アルコール性の脂肪肝(NAFLD)もあり、肝硬変に移行するケースもあるので注意が必要です。
脂肪肝の診断では、血液検査でコレステロールや、AST/ALT(GOT/GPT)、γ-GTP、コリンエステラーゼなどの値を測ったり、超音波やCTなどの画像診断を行ったりします。最終的に診断をつけるために、肝臓の組織を微量にとって調べる肝生検という方法をとることもあります。
脂肪肝の治療は、生活習慣を改める努力が第一歩となります。肥満が原因ならば食事療法と運動療法を、飲酒が原因であれば禁酒を行うことで、脂肪肝はかなり改善されます。それでも効果がない場合には、薬物による治療が行われます。ただし、薬物療法はあくまで補助的な治療と位置づけで、生活習慣の改善が何より重要です。
2021年夏の第5波の主流だった変異ウイルス「デルタ株」は、以前のウイルス株と比べてワクチンがやや効きにくいとされ、実際にブレークスルー感染が増えています。しかし今後登場するすべての変異ウイルスが、ワクチンが効きにくい性質を持っているとは限りません。例えば、デルタ株の前に世界的に広がっていた「アルファ株」は、感染力はそれ以前のウイルス株より強くなっていましたが、ワクチンの効果は維持されていました。
デルタ株に対しても、ワクチンの重症化予防効果は十分に保たれていることがわかっています。ワクチン接種が進んでいったん減少した感染者数が、デルタ株の流行で再び増えた国もありますが、重症化率や死亡率はワクチン接種が広まる以前と比べて低く抑えることができています。
今後も、ワクチンが効きにくい新たなタイプの変異株が出現する可能性はあります。現に2021年11月下旬に世界保健機関(WHO)により「懸念すべき変異株」に指定された「オミクロン株」は、その変異の多さから既存のワクチンの効果が低下するのではないかと疑われています。ただし、その場合でもワクチンの効果がゼロになるとは考えにくいです。また、新たな変異株に対応したワクチンの開発・改良も常に行われているので、変異ウイルスが原因でワクチン接種が無意味になることはまずないでしょう。
頻度はまれなものの、新型コロナワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を疑う事例が国内外で報告されています。心臓の筋肉である心筋に炎症が起こるのが心筋炎で、心臓を包む表面の膜に炎症が起こるのが心膜炎です。10代~30代の男性、1回目接種よりも2回目接種で発生頻度が高く、接種後1週間以内に発症する傾向が高いようです。
なお、10代、20代の男性については、ファイザーのワクチンに比べてモデルナワクチンで心筋炎・心膜炎の頻度が高い可能性が示唆されています(表参照)。希望する場合には、モデルナのワクチンをすでに予約中、あるいは1回目にすでにモデルナのワクチンを接種していても、ファイザーのワクチン接種に変更することができます。
心筋炎は重症化すると、心不全や不整脈などの原因になることがありますが、新型コロナワクチン接種後に発症した心筋炎や心膜炎の多くは幸い軽症であり、適切な治療によって後遺症を残すことなく速やかに改善しています。
心筋炎や心膜炎は、新型コロナウイルスに感染した場合にも、合併症として起こることがあります。合併する確率はワクチン接種後に発症する確率よりも高く、より重症であることがわかっています。したがって現時点では、ワクチン接種のメリットが副反応のリスクのデメリットを上回っているとの考えから、接種対象のすべての世代の人にワクチン接種が推奨されています。
なお、心臓の病気は早期発見、一刻も早い治療がとても重要です。ワクチンの副反応かどうかにかかわらず、今までになかった胸痛、息切れ、動悸などに気付いたら、すぐに医療機関を受診してください。
このコーナーでは、新型コロナウイルスワクチンと治療薬に関するQ&Aを毎週2題ずつ掲載していきます。
Q&Aは電子書籍『新たなギモンに日米欧の医師らが総力回答!新型コロナワクチン・治療薬 最新Q&A50』からの転載です。
「柿が赤くなると医者が青くなる」──。そんな言い伝えが示すように、柿の効能は古くから知られていました。柿の原産地は中国ですが、奈良時代には既に我が国で流通していたという記録が残っています。
渋柿や未熟な柿を食べると渋みを感じますが、これはシブオールと呼ばれるタンニンのせい。タンニンは甘柿にも含まれますが、果実が熟すと渋みを感じさせなくなる性質を持っています。甘柿の果肉には黒いゴマのような模様が見られますが、これはタンニンが固まったものです。
タンニンは様々な植物に含まれますが、柿のタンニンは強い解毒作用を持つことが分かっています。特に、大量の飲酒がもたらす悪酔いや二日酔いに効果があることが知られています。江戸時代の医学書にも、柿が「酒毒」を解消するという記述があるほどです。
悪酔いや二日酔いの原因となるのは、アルコールが肝臓で分解される際に生じるアセトアルデヒド。柿のタンニンは、アセトアルデヒドと結合して、これを体外に排出するのを促進します。また、柿に含まれる果糖は、二日酔いの際に見られる低血糖状態を解消する効果もあります。
この他にも柿のタンニンには、血圧を低下させたり、コレステロールを減少させたりする働きがあることも分かっています。また柿は、ビタミンCを豊富に含むため、かぜにかかりにくくなるなどの効果も期待できます。気温がぐっと低くなるこの季節、旬の柿を健康維持のため上手に活用したいものです。